スタッフブログ

動物病院での犬猫の手術で多いものといえば「消化管内異物」があります。

 

消化管内異物の種類ですが、様々なものがあります。

 

その中でも、ボールなどのペット用のおもちゃや、ジャーキーなどのおやつ、鶏の骨、靴下などの衣類、ひも、果物の種、針、毛玉、ボトルのキャップ、アクセサリーなどがよく見られます。

 

 

どうぶつが口に加えて遊んでいるうちに誤って飲み込んでしまう場合や「異嗜症」と言って普通は食べないものを口にしてしまう場合もあります。

 

消化管は口腔から始まり、食道、胃、小腸、大腸を経て肛門に至ります。異物がどこにあるかによって動物に現れる症状も異なります。

 

食道の場合は、吐出と嘔吐を繰り返すほか、喉に何かが引っ掛かったような仕草のような症状を示す事もあります。

 

胃の場合は、繰り返す嘔吐が主な症状です。粘膜の傷害によっては吐血することもあります。嘔吐を示さずに食欲不振や体重減少が長く続く場合もあります。

 

小腸、大腸の場合は、嘔吐や便の異常を示したり、食欲や元気低下を示す場合があります。

 

場合によっては便臭のような臭いの強い嘔吐をすることがあります。

 

胃、小腸、大腸に異物がある場合は、急性の症状を示さず数日から数週間かけて徐々に症状が出たりすることがあり注意が必要です。

 

 

 

  • ◎診断方法

 

①まずはご家族のお話を聞くことが重要です。いつから、どのような症状が出ているか、何を食べた可能性があるか、異物の破片があればそれを持ってきて頂けると助かります。

 

②次に動物の体を触診することが非常に重要です。触った時点で異物が分かる場合もあります、同時にそれがどの部位なのか慎重に確認します。

 

③消化管内異物を疑う場合は、状況に合わせて検査を実施します。その一例をお示しします。

 

X線検査

X線で白く写るような異物(骨や金属など)は存在を確認することができます。X線で白く映らないような物も多くあります。食道や胃の拡張がないか、腸のガスの貯留具合など、正常像との違いを考え注意深く確認します。

 

超音波検査

特に小腸、大腸の異物を診断するのに有用です。異物があるとその場所に異物の形に対応した影が言えることがあります。紐状の異物があり腸重積の状態では腸管が多層構造になるという特徴的な所見が認められます。

 

X線造影検査

造影剤を消化管に流して、異物の輪郭や大きさ、閉塞部分を明らかにする方法です。造影剤にはバリウムやヨードがありますが、異物が消化管を突き抜けて穴を開けている状態(消化管穿孔)が疑われる場合や内視鏡を実施する予定がある場合は、ヨード造影剤を選択します。

 

内視鏡検査

内視鏡検査では、先端に小型のカメラを内蔵したチューブを口または肛門から挿入し、消化管の粘膜状態や内部の異物の有無を確認することができます。動物では麻酔下で実施します。内視鏡にはカメラのほか、鉗子口という穴がありそこから小さな鉗子(物を掴める)を出して異物をキャッチし、摘出可能なものであればそのまま持ってくることができます。

 

 

 

  •  ◎摘出方法(内視鏡による摘出と外科手術による摘出)

 

食道や胃の異物で、鉗子でつまんで摘出可能な異物の場合は内視鏡の適用になります。内視鏡は小腸の前半部くらいまでは到達できますが、それ以降は届きません。

 

また、異物が大きすぎたり、形状が危険な場合や異物が消化管を突き抜けて穴を開けている状態(消化管穿孔)では内視鏡での摘出はできず、開腹手術が必要です。

 

事前に実施する検査(X線検査等)だけで全てを把握できるわけではありません。内視鏡で異物と消化管の状態を確認し、状況によっては開腹手術に移行することがあります。

 

 

 

 

  • ◎摘出後のケア

 

異物が小さく消化管粘膜の損傷も少ない場合は比較的早期に回復します。

消化管の壊死や穿孔があった場合、腹膜炎が生じている場合などは術後も状態に合わせて積極的に治療を実施します。嘔吐を繰り返していた場合は、脱水や栄養状態が悪くなっていることが多いのでケアが重要です。

 

胃や腸を切開、切除した場合には慎重な食事管理が必要です。

 

 

 

 

  • ◎異物の誤食を防ぐためにできること

 

口にすっぽり入ってしまい、丸呑みできてしまうサイズのおもちゃは危険ですので気をつけましょう。

また家の中では、どうぶつが届く場所に小物、薬等危険になるものは置かないようにしましょう。

 

異物を飲み込んでしまった場合、便に出てきて事なきを得る場合もあれば、気づかれずに閉塞や消化管穿孔、腹膜炎などの重篤な状態になる場合もあります。

どうぶつが異物を飲み込んだのを見た時や、見ていなくてもいつも遊んでいたおもちゃが無くなった、吐くようになったなどの症状が見られる時は、早めに獣医師の診察を受けていただくことをおすすめします。

 

 

2018年7月11日更新
  • 歯周病とは?

歯周病は、犬や猫の3歳以上の70%以上が罹患しているといわれています。

 

歯周組織とは、口腔内で歯を支えている組織のことで、歯肉、歯周靭帯、歯槽骨、そしてそれらを支持する結合組織や血管を指します。

 

歯周病は、この歯周組織の病気で、歯肉が炎症を起こして赤く腫れ出血したり、進行すると歯を支える組織が破壊されます。

また口臭や膿汁なども認められることがあります。

 

放置すると、歯槽骨が破壊されて外側の皮膚まで貫通して膿汁などを排出する外歯瘻や口腔内に貫通する内歯瘻といった状態になったり、顎の骨折をしたりします。

 

  • 歯周病の発生と進行

口腔内は常に唾液で覆われています。

 

唾液中のペリクル(糖蛋白)が歯の表面に沈着すると、これは「接着剤」のような働きをしてしまい、次々と細菌が付着します。さらに食べかすや口腔内の細胞などが集まって「歯垢(プラーク)」が形成されます。

 

さらに唾液に含まれる炭酸カルシウム塩とリン酸カルシウム塩が加わり、3日〜5日程度で石灰化して「歯石」になります。

 

カルシウム塩はアルカリ性の方が歯垢に沈着しやすく、唾液がアルカリ性の犬や猫では、酸性の人よりも歯石が沈着しやすいと言われています。

歯石が形成されるとさらに歯垢が付きやすくなり、炎症の原因となります。

 

はじめは歯肉の軽度の炎症ですが、次第に炎症がひどくなり、歯肉と歯の間(歯周ポケット)が形成されます。

歯根膜や歯槽骨が破壊されるようになり、歯がぐらつくようになります。

 

  • 歯垢と歯石の除去(スケーリング)

超音波スケーラーを用いて、歯の表面の歯垢や歯石を除去するだけでなく、外から見えない歯周ポケット内の歯石や歯垢を取り除きます。繊細な処置が必要となるため、どうぶつの安全のために、麻酔下で行います。

 

 

なお、無麻酔での歯石とりは、非常に危険なだけでなく、病態を悪化させる可能性があり、日本小動物歯科研究会からも、注意喚起がなされております(詳細は研究会HP)。

 

  • ホームケアの重要性

歯垢が歯石になる前に歯磨きで取り除くことができれば、歯周病の進行を抑えることができます。

 

どうぶつに協力してもらえる状態を作ることと、飼い主様が正しい歯磨きの方法を習得し根気強く続けることが重要です。

 

どうぶつにとって歯磨きはあまり気持ちの良いものではありません。

 

なぜやるのかは理解できないですから、じっとしていないからといって怒られると「嫌な経験」として覚えてしまいます。

笑顔で優しく声をかけながら行い、良くできたらしっかり褒めてあげることが重要です。

 

歯磨きの方法も、すぐに歯ブラシを使うのではなく、まずは口に触ることに慣れてもらい、次にデンタルシートを使った方法、それができるようになったら歯ブラシを使います。

少しずつ段階的に行い、最終的には毎日磨く習慣ができると良いでしょう。

 

 

 

武井動物病院では、1対1の歯磨きプライベートレッスンを行なっています。歯石と歯肉の付着具合のチェックから歯磨きのコツと実践トレーニングも行いますので、ぜひ一度、ご利用ください。

デンタルケア プライベートレッスンを開催します

ご予約はお電話にて承っております。042-576-9100

2018年6月7日更新

皆様、こんにちは。

 

5/13(日)の午後に、犬の心臓病に関する勉強会に参加してきましたので、

心臓病について書こうと思います。

 

犬の心臓病で特に多いのが、「僧帽弁閉鎖不全症」という疾患です。

 

心臓は全身に血液(酸素)を循環させるポンプとしての働きがあり、

4つの部屋(左心房、左心室、右心房、右心室)に区切られています。

血液は一定の順番で4つの部屋を回ります。

 

さらに詳しく見ると、部屋と部屋の間にはドア()があり、血液が通った後に閉じて血流が逆流しないようになっています。

 

特に、左心房と左心室の間の弁を「僧帽弁」といい、この弁の機能が低下してしまう病気が「僧帽弁閉鎖不全症」です。

 

僧帽弁が正常に機能しないと、次第に血液が逆流するようになり、進行すると肺や全身への血液循環に支障をきたすことになります。

初期には症状を示さないことも多く、飼い主さんが気がついた時には、かなり病気が進行している場合があります。

弁の機能低下が進行すると、運動や興奮時に咳をする、呼吸が早くなる、疲れやすくなるなどの症状がみられます。さらに重度になると、日常生活でも上記のような症状や、肺水腫による呼吸困難、失神などの重い症状を示すようになります。

 

今回の勉強会では、

ACVIM(アメリカ獣医内科学会)で議論中の

僧帽弁閉鎖不全症の診断方法、ステージ分類の見直し、適切な治療のための治療薬の見直しに関して、最新情報を得てきました。自分が臨床現場で感じていた感覚が、世界の専門医の見解と同様であることが確認できました。

 

僧帽弁閉鎖不全症の治療は大きな転換期を迎えており、今後、無症状で過ごせる期間の延長、また寿命の延長が期待できます。近年では、専門病院で僧帽弁修復手術も可能になっており、実際に手術を行った子が劇的な回復を遂げているのを見ると嬉しい限りです。

 

この病気は、血液の逆流がはじまると心雑音が聞こえるようになります。

定期的な健康診断で、心雑音が見つかれば、検査を行い、他の病気の可能性も含めて早期診断を行うことができます。早期診断できれば、適切な治療により元気な時期を長くすることができます。

 

武井動物病院では、心臓病の早期発見と正しい診断、治療のため、以下の検査を受けることができます。

 

・心臓マーカー測定(血液検査)

・心臓エコー検査

・心臓X線検査

・心電図検査

・血圧検査

 

これらの検査結果を総合的に判断し、治療方針を決めていきます。

 

この病気は命に関わる病気です。

心配なこと、困っていること、自分はこうしてあげたいというご意見を当院の獣医師に思い切りぶつけていただき、ご家族とどうぶつにとって最善の治療ができればと考えています。

なお、僧帽弁修復手術を希望される方には、専門医への紹介も行っております。

2018年5月22日更新

だんだん暑くなってきましたね。私は夏に日光を浴びながら走るのが好きなので早く夏が来ないかなと思っていますが、どうぶつ達には過ごしにくい季節です。暑さ対策をそろそろ始めていきましょう。

 

 

話は変わりますが、先日の夜、

 

 

腎臓病のサプリメント&皮膚病のシャンプーについてのセミナーに参加してきました。

 

勉強して新しい知識が得られる喜びが、昔よりも増してきている今日この頃です。

 

 

勉強した中で、おうちの方に覚えておいて頂きたい点を簡単にまとめてみます。

 

腎臓病について

 

□腎臓に異常値が出てきた初期段階で、食事の栄養管理(特にリンの制限)が必要です。

 

□リンの制限は療法食+リン吸着サプリメントが望ましいです。

 

□腎臓病ではお腹をこわしやすいです。整腸剤などを使って腸の善玉菌を保ち、悪玉菌を減らすことが、腎臓病の進行抑制、症状の緩和につながります。

 

腎臓は一度壊れてしまうと元には戻りません。しかし、腎臓をケアしてあげることで、悪化のスピードは遅くできます。腎臓病とうまく付き合っていきましょう。

 

皮膚病のシャンプーについて

 

□皮膚の表面の角質層は、「皮膚バリア」として外部刺激から皮膚を守り、内部からの水分の喪失を防いでいます。皮膚病の子では、皮膚バリアが弱い場合が多いです。

 

 

□正しいシャンプーの仕方。

角質層に35℃以下の水分を含ませます(5分間)→角質層にしっかり泡立てたシャンプー成分をマッサージするように浸透させます(10分間)→シャンプーが残らないよう優しくすすぎ洗いします(35℃以下で)→優しくタオルドライ+ドライヤーをかけます

 

 

□必要なシャンプーは個々の体質や皮膚の状態によって違うので、適切なシャンプーを獣医師と相談して選ぶことが大切です。

 

 

□皮膚バリアの弱い子には、低刺激&保湿性の高いシャンプーが推奨されます。

 

 

これからの時期、皮膚病は非常に多くなってきます。シャンプーは治療の一つの柱ですので、シャンプーを適切に選び、使えるように、一緒に考えていきましょう!

2018年4月28日更新

少し前になりますが、

 

2月25日に環境省主催の「人とペットの災害対策シンポジウム」に参加してきました。

 

シンポジウムでは「人とペットの災害対策ガイドライン」の紹介がありました。

 

この新しいガイドラインには、災害時のペットの救護や飼養について、飼い主様による「自助」が基本であることが明記されています。つまり、災害時には飼い主様自身が、おうちの子のケアを行いましょうということです。災害初期は特に混乱するため、すぐに公的支援を求めることが難しく、飼い主様自身が対応する必要があるとのことでした。

 

また、実際に震災の現場で対応にあたった方々のお話をお聞きし、ペットと同行避難した後、避難所などで様々な問題が生じたことを知りました。

 

ガイドラインには、災害時にペットを適切に飼養するには、日頃からの準備が重要であるとも述べられています。

 

「非日常は日常の延長線にある」というパネラーの方の言葉が印象的でした。

 

当院のHPに、「どうぶつの防災・減災」のページを追加しましたので、日頃の備えの参考にしていただければ幸いです。

 

以下リンクです。

 

http://takei-amc.com/prevention/bousai.html

2018年3月13日更新

年末より、

 

点滴の管を温める自動輸液加温器を導入しました!

 

 

 

 

これまでも輸液バッグや体を温めるヒーターはありましたが、

 

点滴の管を温める機械は日本では初めて発売されたようです。

 

 

 

手術中にこの機械を用いることにより、術中の体温低下を防止できるので、

 

内臓の負担が軽減され、麻酔の醒めも早く、より安全な手術が可能となりました。

 

 

 

手術以外でも、体温の低下している子への点滴で活躍しそうです。

 

 

 

 

 

2018年1月5日更新

12/19の夜、
木場駅のCYGNIさんのオフィスにて、

 

大学生のためのキャリアセミナーの講師をして来ました!

 

診療や手術とはまた違ったスイッチが入りますね。

 

 

比較的年齢の近い獣医師として、

自分の経験を踏まえ学生さんのお役に立てるように頑張りました。

 

セミナー後には懇親会も開催され、

将来の獣医療業界を背負って立つような熱い人材と触れ合うことで、こちらが刺激をもらいました。

 

これからも、話を聞いてくださった学生さんたちに恥ずかしくないような背中を見せていけたらと思います。

 

田中

 

2017年12月22日更新

先日12/8は、

 

夜の診察後に亀戸に移動し、

 

感染症と抗菌薬のセミナーを受けてきました!

 

この分野は人でも動物でも今注目されている(問題になっているとも言える)分野です。

 


なかなかまとまった時間が取れないので、お勉強タイム楽しかったです。
獣医療における感染症の正しい診断、治療の流れ、獣医療と人医療との比較も交えて抗菌薬の効果的な使い方、注意事項やガイドラインを頭に入れてきました。

 

今後、仕入れた情報を基に、より精度の高い、最新の感染症治療を行なっていきます。
田中

2017年12月12日更新

10/30から、最新の尿検査機器を導入しました!

 

 

 

この機械、

検査精度が高いのはもちろんのこと、

 

UPC(尿タンパク/クレアチニン比)という項目を測定できるため、

いつもの尿検査で腎臓機能がより詳しくわかるようになりました。

 

 

定期的に尿検査をしている子はもちろん、尿検査を受けたことがないという子も、

おしっこだけお持ち頂ければ検査可能ですので、気軽にお声がけください。

2017年11月3日更新

本日のお昼、近所の幼稚園の子供たちが当院にやってきました!

 

年長クラスの総勢37名!みんな好奇心の塊で元気いっぱい。

 

その目的は、、、「動物のお医者さん体験」です!

 

超音波検査で身体の中を見たり、心電図を見てみたり、動物のレントゲン画像のクイズに答えたり、聴診器で心臓の音を聴いてみたり、

 

 

 

その中でも盛り上がったのは内視鏡体験です。内視鏡の先に写った画像がディスプレイに表示されるとあって、みんな色々なところを見て興味津々でした。

 

体験終了後は、体験証明書をひとりひとりにお渡しし、記念に持って帰ってもらいました。彼らが大人になってそれぞれの道に進んだときに、今日の日のことを少しでも覚えていてくれれば嬉しいですし、動物のお医者さんになっていればさらに嬉しいです。

 

 

 

余談ですが、当院の猫たちも可愛い可愛いと褒められてご満悦のようで、子供たちが帰った後も興奮してゴロゴロ鳴いています。

 

 

また来年も楽しみにしています!!

 

 

 

 

 

 

2017年10月27日更新